朝8時過ぎ。静岡のマンキツを出て、パンクしたタイヤを直すために、
えむわんと一緒に自転車屋さんを探す。
今日の目的地は浜松。
友達のいのっちにお世話になる予定♪
パンクした自転車を引きずってふらふらふらふら…
そしたら、途中の大通り沿いの美容院で、後ろの荷台にくくりつけていた荷物が
崩れてしまった…
ありゃりゃーと思って直していると、
「こんな積み方じゃダメよー!」
と、中から美容師のおばちゃんが登場。
テキパキと荷物をくくりつけてくれた。
しかも、すごく頑丈!全然ブレない。
「おせっかいでしょー。ごめんねぇ。でも、もう人が困ってるの見ると手伝ったあげたくなるのよねぇ。」
と去り際に一言。
ありがとう、おばちゃん!
お礼をしてまた自転車を押す。
すぐ近くに自転車屋を発見!
パンクを直してもらって、
おばちゃんに教えてもらった結び方を早速実践。

そして、10時過ぎにようやく出発!
この日は台風が来ていて、というか静岡に直撃で、
昼過ぎにはすごい嵐になってきた。
でも、「天然のシャワーだー!」とかいいながら、
雨が降っている中、
やっぱり上裸で走ってた雨ぐらいが涼しくて気持ちよくて、
えむわんと爆笑しながら走ってた。
しかし、僕の脳裏には一つだけ心配ごとが…
ずっと前から調子が悪かったケータイ
ポケットの中で水没してたこれは痛恨の一撃です。
やっぱりケータイまた動かなくなっちゃった。
そんなこんなしてたら、14時ぐらい。
またしても自転車がパンク海沿いの道で何もない道路だったから今度は自転車屋さんは無さそう…。
でも、ちょうどパンクした場所がたまたまポツンとあった弁当屋さんの目の前だったから、
「…とりあえずメシ食うか」
ということで、びしょ濡れのまま店内に。
水をポタポタたらしながら入ってきた二人組みに、
お弁当屋のオバちゃん達はビックリ(笑)
そりゃそうだ。
でも、すごい暖かなオバちゃん達で、一番近所の自転車屋さんに電話かけてくれたり、
から揚げをサービスしてくれたりすごく嬉しかった。

えむわんはから揚げを食しております。
僕はかつどんです。
手前には死去したケータイ

優しいおばちゃんたち。
そんなこんなしてたら、大きなお腹の関西弁のおっちゃんがお店に入ってきた。
出身地がえむわんと近所らしくて、
すぐに意気投合!
俺らが大阪を目指してポストカード売りながら旅していることを話すと、
「ビールなんか飲んでる場合ちゃうなぁ。」
と言って、1000円分もポストカードを買ってくれた。
すげぇ嬉しかった(・∀・)
おばちゃんとおじちゃんにバイバイして、
少し離れた町の自転車屋さんを目指す。

お弁当屋さんレインボーとえむわん。と、ドア付近におじちゃん(笑)
20年の老舗のお店。夏はサーファーでにぎわうそうですよ。
http://phonebook.yahoo.co.jp/a122/g103/g20170/g36845000/?sort=1(お店のHPなかった)
そこからまた30分くらい自転車を押して歩いて、
たどり着いたのは小さな自転車屋さん。
ここのおじいちゃんがすごかった!
終戦直後から自転車屋さんを始め、
この道なんと
65年しかも使っている工具は、
おじいちゃんのおじいちゃんが大正時代から使っているものだった。
「自転車屋を辞めたいと思ったことはないんですか?」
「うーん…ないねぇ」
この言葉の重み。
僕は5ヶ月で退職しました


手術中です。
安否は分かりません。

大正時代からの工具。
木がカッコイイ。生きているような木だった。





65年の手。
修理している間、えむわんはぐっすり。
僕は、途中から来た別のおじいちゃんと3人でお話しながら
ここらへんの地元の歴史とか、おじいちゃん達の人生みたいなものに
触れていた。
「東京は住むところじゃねぇよなぁ。こんな田舎だけど、居心地がいいんだ。
でも、ここはここで仕事がねぇからなぁ(笑)」
「昔は俺らも自転車を自分で作って、箱根を登ったりしたなぁ。あの頃は道路が砂利で、下り坂が怖かったなぁ」
なんだか、おじいちゃん達の話が、声が心地よくてすーっとした。
工具も、この町も、昨日通った箱根の道も、
歴史がたくさん詰まっていて、
想いがたくさん詰まっていて、
そして僕の自転車は今、このおじいちゃんの手によって直されている。
これから行く道も、たくさん想いが詰まっていて、
それらの中で僕らは生きている。
なんだか、そんなようなことを思って、
目を閉じてみた。
ブレーキも直してもらった。
出発した時からずっと変だった、タイヤの
「ギギギギギギギ」っていう音も直してもらった。
他の自転車屋さんでは直らなかったものなのに。
さすが65年。プロというよりも、職人です。
おじぃちゃんに何もしてあげられないから、
1枚、子どもの笑顔が写っているポストカードを差し上げた。
全ての物事は、最高のタイミングで起こって、何かの意味がある。全ては学びになり、それらは常にパーフェクト。昨日自転車がパンクしなければ、今朝美容院のおばちゃんに荷物の結び方を教えてもらうことはなかった。
弁当屋の前でパンクしなければ、おっちゃんが1000円分もポストカードを買ってくれることはなかったし、
こんなにステキな自転車屋のおじいちゃんに出会うこともなかった。
昨日、箱根の山で手こずらなければ沼津で路上をやることもなかったし、
ミクシーにダメもとで書き込まなければ、やす子さんに出会うこともなかった。
動けば、それだけ環境が変わる。
その時、過去のあらゆることに感謝できるようになる。
僕が旅に出ようとした理由は、本当に個人的なことで、
とにかく、自分に対しても、周りに対しても、
過去や事実は変えられないけど、
毎日は新しい日だから、未来はいくらでも創っていけるんだってことを身をもって証明したかったから。
Today is the first day of the rest of my life.
(今日という日は、残りの人生の初めての日)なんだってことを、伝えたかったから。
そんなことを、自転車屋のおじいちゃんと出会って、感じることができた。
生まれ変わった自転車とともに、
再びスタート!
もう、何も自分を止めるものなんてないぜ!
めでたしめでたし。
で終わったら良かったんですが。出発して20分。
タイヤ、再びパンク(笑)
生まれ変わってねぇぇえええええ!!!これには、もう笑うしかなかった。
えむわんと笑うしかなかった。
もう、タイヤ自体を変えるしかないのかもしれない。
道は海岸線。
店は何もない。
左は海。ひたすら続く道路にはトラックと車がびゅんびゅん。左は山。
「こしけん…俺は先に浜松に行くから、こしけんはヒッチハイクして浜松においでや。」
またえむわんと別れる。
そんな感じでヒッチハイクスタート。

ネタになりそうだと思ってセルフタイマーで撮ってみた。笑
しかし、全然車が止まってくれない。
止まってくれたとしても、「うちはすぐそこだから。浜松にはいかねぇなぁ。」
の一言。
そう、浜松方面に行く人は、みんな内陸の国道1号を通るんです。
僕らが走っていた道は、遠回りだけど平坦な道が続く海岸沿いの150号線。
というか、台風でずぶ濡れの人間と大荷物を乗せようという人がまずいないんだろうけど…
開始して30分。
「どうしたー!」って、ようやく止まってくれたおっちゃんが、
この先300メートルぐらい行ったところにジェットスキー屋があることを教えてくれて、
ワラにもすがる思いで店に駆け込む。
お店は、若いお兄さんが一人でやっていて、
何とか電話だけは貸してくれた。
壊れることを考慮して持ってきていた旧ケータイから、えむわんの番号にかけて現状を伝える。
えむわんが何とかいのっちに連絡つなげてくれるみたい。
とにかく、諦めずにヒッチハイク再開!
でも…
まったくつかまらない。
必死に道路に出ても、トラックには水をかけられて終わる。
昼間上裸で走ったのと、台風でずぶ濡れのせいで、
体が本当に冷えてきた。寒い。
ジージャンを羽織ってみた。
ジージャンもずぶ濡れ。
体がガタガタ震える。
19時。
ジェットスキーのお店を閉めるからと、お兄さんが帰ってしまった。
車で。笑へこんだ。
街頭はバス停に1つだけ。
真っ暗。
海が荒れている。唸っている。
嵐が吹き付ける。叩きつける。
台風だからか、車もトラックも通らなくなってきた。
たまに来るトラックに、白いタオルを降りながら必死に道に出ても水をかけられる。
山が巨大な怪物に見える。
何より、寒い。
体の芯から冷えてきた。
震えが止まらない。
ケータイも壊れている。
電話も借りられない。
誰もいない。
不安になってきた。
怖い。
今日、どうしよう。
寒い。
台風をなめていた。
怖い。
怖い。
寒い。
叫んだ。
「俺の本気ってなんだ!本気って何なんだ!こんなもんじゃないだろ!」
「絶対に死なねぇ。生きて、大阪まで絶対に行くんだ!大阪まで。。」
頭おかしいっすよね笑
でも、本当に本当に怖かった。
寒くて台風で死ぬんじゃないかって思った。

こんな感じだった。
ネガティブな感情はネガティブな環境しか引き寄せないから、
僕は気付いたら
「動けば変わる。動けば変わる。」
とかつぶやきながら、自転車を押していた。
浜松まで40キロ。
押していくしかない。
真っ暗な道をずっとずっと…
そしたら、1軒のカフェがあった。
水を滴らせながら入ったそのカフェは、
バーカウンターがある、個人経営のオシャレなカフェ。
すみません、電話をかしてください。
いいですよ。
自転車がパンクしてしまったんですけど、
少しここにいさせてもらってもいいですか。
いいですよ。
ブレンドコーヒーを一つください。
かしこまりました。
暖かかった。
ブレンドコーヒーが、本当に芯までしみわたって。
震えていた体が少しずつ感覚を取り戻してきて、
うとうとしていたら。
いのっちが登場!!!!浜松から1時間ぐらいかけて車を飛ばしてきてくれた。
命の恩人!
いのっちの車に自転車を積んで、
いのっちと色々お話しながら車で浜松まで。
いのっちいわく、俺がヒッチハイクして震えていた場所は、
台風の中継とかする場所らしい。いのっちに連れて行ってもらったところは、
バーデンバーデンという、宿泊施設つきの温泉。健康ランド的なところ?
そこには、
ひとっ風呂あびたえむわんが(笑)
えむわーーーん!
握手していたら、受付のおじちゃんが
「とりあえず荷物見とくからそこにおいて、風呂入ってきな!」
って言ってくれた(笑)
どうやら事情を知ってくれているらしい。
風呂を浴びて、
やっぱりビール飲んで、
えむわんに色々話して、
台風に打ちひしがれていた時に感じた想いも話して、
疲れてぐっすり寝た。